さんびゃくろくじゅうごほ




駅前の書店を梯子するのが休日のお決まりコースだ。それらを巡り終わって、軽く昼食を摂り、帰途につく。
バスを使ってもいいが、ふたりでのんびり歩いてもせいぜい三十分の距離。天気が悪くなければ歩く。これも、休日のお楽しみ、なのである。
アーケードに入ると、雑踏に紛れていつもの歌が聞こえる。政宗は、斜め後ろを歩く男を振り返る。
「いつも思うんだけどさ、・・・これって本当なのか?」
「何がでしょう?」
「聞こえるだろ、『駅から三百六十五歩・・・』だよ」
それは老舗の時計店の広報歌。小十郎は首を傾げた。
「あまり気にしたことはありませんが・・・言われてみれば、確かに、気になりますね」
「アーケード入ってからいつも、あ、そういえば、って思うんだよな・・・」
うーん、と立ち止まってしまった主に、「では、一旦駅まで戻って確認してみますか」と聞いた。まだそれほど駅から遠いところではない。しかし政宗は一瞬逡巡し、「・・・いや、いいや」と断わってきた。
戻るのが面倒なのだろうか、と思い、それならば、と提案する。
「お傍を離れることをお許しいただければ、この小十郎が確認して参りますが」
「・・・ますます、いらねぇ」
だんだん不機嫌になる主に、小十郎は困惑した。言い出したのだから、余程気になるのかと思ったのに。
「政宗さま、」
「いらねぇ!!もしお前が駅から三百六十五歩で来れたとしても、俺が三百六十五歩以上掛かったら悔しいじゃねぇか!!」
もういい!と言い置いて、ふいっと歩きだしてしまう。
そんな主に苦笑しながら、今度確かめてみようか、と、ちょっと考えた小十郎だった。

**********************
「駅から三百六十五歩、時計と宝石三●堂♪」アーケードのあの歌は真実なのか、はたまた誰が数えたのか、ものすごく気になるなーってネタ。私もいつもアーケードに入ってから「そういえば」って思うので。
仙台を訪れたかたは是非、試してみてください。しかしいったい『駅から』って駅のドコから始めればいいんですか三●堂さんww改札から?出口から??
(20091226/ナガノ)

※ブラウザを閉じてお戻りください。