ふえふけばおどる
ふらっと散歩に行った政宗が、ガサガサというレジ袋の音をさせて帰ってきたので、小十郎は眉を顰めた。
エコバッグ持参が当然の風潮になった昨今、レジ袋などくれるのはコンビニと相場が決まっている。
小十郎はコンビニというものをあまり好まない。夜寝て昼起きているのが人間の基本だというのに、年がら年中二十四時間煌々と誘蛾灯のように点いているそのあかりが気に入らない。しかもプロパー販売だからスーパーなどで買うより高くつくのもまた気に入らない。
それを知っているから、政宗も普段はコンビニではあまり買い物をしないのだが。
「・・・政宗さま、」
「Wait!!小言はあとで聞く!コレ冷やして来るからよ」
彼が軽く掲げて見せたレジ袋の中には、金色の缶がふたつ。小十郎は溜息をつく。
「・・・年齢確認、されませんでしたか?」
「何だよ、お前俺が幾つだと思ってんだ?」
「確か御年十九かと。日本国においてビールは成人の飲み物、成人は二十歳からではございませんか」
「いっこしか違わねぇだろうがよ〜」
口を尖らせて、台所へ逃げ込もうとする政宗の腕を捕らえて、小十郎は溜息をつく。
「・・・お酒は二十歳になってから、というのはご存知でしょうな?」
「どこの回しモンだお前は!!別に呑みたくて購ったんじゃねぇよ!お前と綱元で呑めばいいだろ」
「御自分で呑みもしないものを何故購うんです?!また、もしも慰労のために購ってくださるというのでしたら、何故コンビニなんですか。同じ銘柄のものが近くの酒屋でも売っておりましょう」
「Ah〜もう!!しょーがねぇだろ、コレはコンビニじゃねぇと駄目なんだから!!」
「意味が判りません!兎に角、無駄遣いはなさらないで戴きたい!!」
「判った判ったって!!」
腕を振りほどいて、台所へと向かってしまった政宗の背を見て盛大に溜息をついていたら、背後でふくく、と笑い声がした。
「・・・なんだ、綱元」
「景綱、お前はコンビニ嫌いだから知らないだろうが、コンビニには『コンビニ限定品』というのがあってな」
「ああ?」
不機嫌に応じた小十郎の前に、綱元は自分の携帯電話をぶら下げた。意味が判らずに首を傾げると、綱元は笑ったままで言った。
「・・・あとで、政宗さまの携帯を見てみろ」
「はあ??」
綱元の携帯電話には、竹に雀の紋の入った青いストラップが揺れていた。
主が風呂に行って少ししてから、洗濯の終わったタオルを持っていっていないことに気付いて、小十郎は立ち上がった。畳み終わったタオルを手に、脱衣所の外から声を掛けると、浴室から応答があった。
「失礼します、・・・と」
タオルを置こうとしたそのとき、脱いだジーンズの上にある、青い携帯電話が目に入った。
―――――あとで、政宗さまの携帯を見てみろ。
綱元のことばを思い出して、何の気無しにそれを見た、小十郎の手が止まった。
冷蔵庫で冷やされていた金色の缶をふたつ持って、綱元のところに行くと、にやり、と笑われた。
「判ったか?」
「・・・ああ」
主の携帯電話には、朝までは付いていなかったストラップが付いていた。
・・・茶色の、九曜紋。
それは確か、昔の自分の・・・面映いような、嬉しいような。それを見透かすように、綱元が覗き込んでくる。
「可愛い、とか思っただろ?」
「・・・いやしかし何もコンビニで購わなくても」
「仕方ないだろう、『限定品』だからな」
ふふ、と笑いながら、金色の缶を受け取った綱元は、そのプルタブに爪をかけたところで、「あ、」と小十郎を見る。
「何だ」
「ちなみに俺のは、前回のキャンペーンのだから、もう売ってないぞ」
ふん、とビールを喉に流し込みながら、今度は、キャンペーン情報はちゃんと見よう、と思った小十郎だった。
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早速ひっかかってビール買った私が通りますよ〜ww悔しいからネタにしてみた。
小十郎はコンビニ嫌いそうなイメージです。勝手に。
綱元は筆頭大好きだから、武将関連のキャンペーンチェックしてるんだよきっとwwと妄想した話。
(20091126/ナガノ)
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