3時のおやつ
重箱にきっちりと詰めたずんだ団子と水筒に詰めたお茶を両手に提げて政宗は上機嫌だった。
ついつい鼻歌などを歌いながら歩きだそうとしたまさにその時、騒がしい一陣の風がやってきた。
…その暴風は赤い色の若武者と迷彩模様の忍びの形をしていた。
「むぁ〜さぁ〜むぅ〜ねぇ〜どぅ〜のおぉぉ〜〜!!!」
「あ、どーも。おじゃましまーす」
政宗はちょっと不機嫌になりながらも一応声をかけた。
「…何しに来やがった…というか俺は今忙しいから後にしろ」
「おや?片倉殿がおりませぬな?」
「あ、本当だ!珍しいね〜」
「…Hey、真田、猿飛…俺を無視して話を進めてるんじゃねェ」
「あれ?竜の旦那、おでかけでもするところだったの?」
目敏く手にした風呂敷包みを見付けた佐助が政宗に尋ねると少し機嫌を直したらしい政宗が応えた。
「Ah〜、今から小十郎の畑に行くところだ」
「差し支えなければ某もご一緒しても宜しいか?」
幸村が好奇心できらきら輝く目で見つめてきたので、政宗は一瞬考えて頷いた。
「…OK、ついてきな。」
遠くから自分の名前を呼ぶ主の声が聞こえて小十郎がそちらを見ると、主の姿と…甲斐の真田主従の姿が目に入った。
「やれやれ、また来やがったか…」
ため息をつきながら立ち上がり野良着の土を払う。程なく両手に荷物を提げた政宗が側までやってきた。
「小十郎、茶持ってきてやったぞ」
「それはそれは、かたじけのうございます」
戦場では絶対に見られない穏やかな笑顔とともに小十郎は軽く頭を下げた。
しかし、その笑顔も幸村と佐助の方に向き直った時には跡形もなく消え失せていた。
「…で、てめぇらは何しにきやがったんだ…?」
「某、片倉殿の畑を見てみたくて連れてきてもらったのでござる!」
「俺様は真田の旦那のお付き合いで…」
幸村は辺りを見回した。
「…見事でござるなぁ…」
「小十郎の畑の野菜は絶品だぜ」
政宗が嬉しそうに応えた。
一同は畦に腰を下ろし政宗が大事に提げてきた重箱を覗きこんだ。
蓋を開けると鮮やかな黄緑色が目に飛び込んできた。
「ほら」
政宗が団子を一つつまみ上げ小十郎の口許に近付けると当たり前のように小十郎が口を開けた。
いただきます、と言うのも忘れない。
ぱくりと団子と指先が口内に消える。
団子を離した指先がするりとくちびるを撫でて抜き取られた。
大好物の団子を一つつまみ上げたまま一部始終を見つめていた幸村は何故か耳まで真っ赤に染めた。
「…あ〜、旦那には少し刺激が強いかもね…」
佐助が言い終わるか終わらないかのうちに幸村が叫んだ。
「破廉恥でごさるぅぅ〜〜〜〜!」
自分の何が破廉恥だったかなんて気にもしない政宗は絶叫を無視して次の団子をつまみ上げた。
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団子は串に刺さってないやつでお願いします(いや、言い訳他に有るだろ)。
(20100203/ミズキ)
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